面白い「非」の咲き乱れる作品を…(『LOST SONG』他)

LOST SONG』(1~3話)

1話冒頭1分間の「これは完全に自分が好きなタイプのアレなファンタジーアニメなのでは…」感は『聖戦ケルベロス 竜刻のファタリテ』以来のものがあったが、そこからの進み行きはだいぶ異なる。

ゲーム屋ファンタジーアニメの生きる道は3つ(と書いている途中でこれゲーム原作じゃないなと気づいてしまったがまぁMAGES.はゲーム屋みたいなものだろう)。すなわち、『イクシオンサーガDT』『シャイニング・ハーツ』『神撃のバハムート』…そう考えてみると*1、このアニメはどの方向にも寄り添わずに生きる道を模索しようとしているように見える。ファンタジーシンフォギアがやりたかったのかとも思ってしまうが、その割には普通な部分が普通過ぎる…が、地形を活かしたジャンプ蹴りなど、単に普通過ぎるで片付けるにはあまりにもトンチキな細部が煌めいているのも確かだ。

鈴木このみが唄うならヒロインはこんなに幼くなくていい気がするし、ケバい吟遊詩人はこんなにケバくなくてもいい(なんかマジカルハロウィンのキャラに似ている気がする)と思うし、「投げた爆弾がリンゴに…」みたいな場面転換する必要もない気がするし…この作品は数々の「そうじゃなくても…」=「なんでそうなの?」で彩られている。そんな作品を見守る事は、時に「それしかない」という必然に安住した作品を見守よりも刺激的な体験となる。

非の打ち所がない作品より面白い「非」が咲き乱れる作品を!

と嘗て書いたのは中原昌也*2。様々な「非」が折り重なり、インチキ臭いバランスで何かが築き上がっていく…のか?今後も見逃せない。

 

ラストピリオド』(1~4話)

毎回同じように飛び出てくる依頼・1話で出てきて溶け込んだキャラの色違いが2話で出てきてこいつも並んで溶け込む…など、魅力的なフォームをたくさん持っている分、こんな感じでネタに走らなくてもなーと思ってしまう。

ネタ的な部分に関しては、原作キャラデザにBLADEに近いものがあるだけに、どうしても比較対象として『まかでみ・WAっしょい!』が立ち上って来てしまい、あの攻め方に比べると…となってしまう。

4話、冷静に考えてひぐらしキャラが出てくることより、菊地美香ヒロインがいることの方が凄いんだよ。

*1:聖戦ケルベロス 竜刻のファタリテイクシオンサーガDTの道を歩みそうで実は全然違った意欲作

*2:著書『エーガ海に捧ぐ』の、映画『メメント』に対しての言。面白い「非」が咲き乱れる映画の好例として挙げられているのは『ワイルドシングス