10年ぶりに10年以上前のデッキでMTGの大会に出て来た話

 ゼンディカーあたりでMTGから離れてから、11年ぶりにMTGの大会に出てきました。しかも10年以上前のデッキを使って。

 …と言っても当時のデッキをそのままレガシーやモダンに持ち込んだという訳ではなく、「懐古スタン」なる特殊フォーマットの大会が開催されたのである。

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 マジックから離れている間も再びマジックをやりたいという気持ちが消えた訳ではなく、復帰時に使いそうなカードはある程度残してたり、時折シーン(とカードの価格相場)の様子を遠目に眺めたりしていたのだが、なかなか再びマジックをやる機会は掴めず。

 構築派なのでせっかくなら残してあるカードを活かす形で構築環境でプレイしたいとは思うものの、今やレガシーはおろかモダンもちょっとばかり昔の資産がある程度では易々と参入できるようなフォーマットではないし(11年前の自分に「ゼンディカーのフェッチは集めてから辞めろ」と言いたい)…と燻っている自分にとって、持ってるカードでそのまんま参戦出来る「懐古スタン」はまさにクリティカル。

 スタンダードという環境は「カードプールが最も広い期間=ローテーション直後の頭のエキスパンションからローテーション直前の最後のエキスパンションのカードまでをフルに使って遊べる期間」が非常に短いのが勿体なく感じることがあったので、そのリベンジマッチになるという意味でも良いフォーマットだと思った。

 

 さて、「持ってるカードでそのまんま参戦出来る」とは言ったものの、いざ参戦を決めてみると諸事情によりぽつぽつ手放しているカードがある事により、大会で使用するデッキの完成&楽しいフリープレイを視野に入れたいくつかのデッキの完成の為には思ったよりカードを集める必要がある事が判明。久々にカード屋の様子を覗いてみる。

 店頭PC注文制を導入してる所が増えている以外は、カード屋の雰囲気は思ったより変わってない印象。カードが増えただけあってエキスパンション別にケースにカードを並べてる店は流石に少なくなっていたけど。ストレージに特価カードが入っているスタイルは相変わらずで、10年越しにストレージ漁りの感覚を味わう。漁ってる間に懐古スタン用のカードだけでなく、懐古スタン関係に関係ないMTGから離れていた時期の赤の優良火力とかをついつい買ってしまった。
 そしてMTGwikiや、PWC(東京・神奈川で開催されていた草の根公認大会)の大会結果がまとまった「ストライクと大会」、五竜杯(PWCと並んで東京圏でポピュラーだった草の根公認大会)の結果が載った「DRAGONS GUIDE」などでデッキレシピを掘削。レシピの中身以外にも、知り合いの名前が並んでるのと、デッキ名がイタいのが味わい深い。どちらのサイトも消えないでいてくれてありがとう。

 時のらせんで復帰したての頃は暇さえあればカード屋を巡って特価品漁ったり、徹夜でMTGwiki読んだりしてたのだが、今回の準備期間はその頃の楽しさがちょっと蘇った日々だった。

 

 大会一週間が近づいた休日には、自分より一足先にマジックから離れていた(こちらはカード全売却済)がマジックとは別に今も付き合いのある友人を呼び出し、当時その友人が使っていたタイプのデッキ(青白ヒバリ)を渡して事前スパーリング。

 使用デッキの第一候補として考えていたのは時のらせんの頃にオデッセイで一時離れたMTGに復帰するきっかけになったデッキタイプ、グルール・ビート(9版・ラヴニカ~時のらせんブロック…当時アグロという言葉はまだ定着していなかった)。お気に入りのデッキなので流石にカードは全て残していた…と思いきや、血染めの月のみプロツアー予選で使うという知り合いの方に貸しっぱのまま、その方が遠方に就職してしまっていて今回集め直し。

 青白ヒバリ相手のスパーリングは、相性的に仕方ないが一切勝てず。生物の質が飛躍的に向上したローウィン以降のボードコントロール相手はやはり辛いのか。特別なギミックがあるデッキでもない(生物で攻めるデッキにしても、今のマジックからは考えられないほどシンプルな能力の生物しか入ってない)ので、普通に勝負になってくれないと勝ち負け以前にまず楽しいゲームになってくれるのか…と当日まで謎に不安になっていた。

書くと長くなるので割愛する紆余曲折の末、最終的なデッキレシピは

~メイン~

密林の猿人 4

ノワールのエルフ 4

瘡蓋族のやっかい者 4

タルモゴイフ 4

炎樹族のシャーマン 2


獣群の呼び声 3
裂け目の稲妻 4
炎の印章 4
黒焦げ 4

悪魔火 1

踏み鳴らされる地 4
カープルーザンの森 4

怒りの穴蔵、スカルグ1

ペンデルヘイヴン 1

森 6

山 6

~サイドボード~

血染めの月 4

古の遺恨 3

硫黄の精霊 3

トーモッドの墓所3

喧騒の貧霊 2

 

 密林の猿人有する9版とタルモゴイフが共に使えた時期は非常に短く、タルモ込みの構成は実はあまり練れていない。当時はほとんどのコントロールデッキが印鑑サイクルを使っていたのでメインにブリキ通りの悪党が主流だったが、今回は環境とタルモとの兼ね合いで不採用で、サイドによりアーティファクト対策に特化した古の遺恨(当時のスタンではオーバーキルであまり採用されなかった)を用意。

 

大会当日

 受付後大会開始の前に、主催者の方に「MTGコンパニオン」はご存知ですか?と聞かれるも、老人なのでセラ天コスのねーちゃんしか思い浮かばず。紙に印刷して貼り出されたマッチング見に行くの「懐かしい~」って周囲でどよめいてたけど、自分このスタイルしか知らんから!一応、戦闘ダメージがスタックに乗らなくなったのと、レジェンドルール変わったのと、マリガンルールが変わったのは押さえてますが。

 不安をよそに、着席してみれば「よろしくお願いします」からのダイスロールで先手後手決定と、今も昔も変わらぬ流れに体に徐々にあの頃の感覚が戻って来る。7枚引いてマリガンチェックする頃には既に10年ぶりだという事も忘れて体がMTGの試合モードになっていた。

■1回戦 青黒緑マッドネス (オデッセイ~オンスロートブロック)  ◯◯

1本目 懐古といいつつなんだかんだ自分が離れた後のカード使われまくるのでは?と心配してたので野生の雑種犬やマーフォークの物あさりをプレイされてほっとする。相手ハンド噛み合ってない所ルーター焼いて追い込んで勝ち。

2本目 序盤こそ猿タルモで押すも、除去(燻しとか)と物静かな思索からのワームの咆哮で徐々に押され始める兆し。残りライフ11まで詰めたところでハンドが黒焦げ2枚だったのであとは3点以上の火力をトップするプランに賭ける…と思ったら相手が綿密な研究フラッシュバックして来たのでそのままチャー2枚撃って勝ち 

対戦相手の方は青黒緑マッドネス現役時代はまだマジックやってなかったとの事で、懐古というより温故知新。親戚からもらった昔のカードの中にオデッセイあたりのカードがあって触っていたとか。

 

■2回戦 スワンアサルト (ローウィン~アラーラブロック) ◯✖◯
 

 知り合いとマッチング。一昨年マジック仲間同窓会飲み的なもので会ってはいるが、対戦は11年くらいぶり。
 

1本目 相手ランド事故で勝ち

2本目 普通にスワンに殴り殺される(除去手段がない)

3本目 普通に並べて殴ってチャーYouで決め
 

当時のフェアリーメタで採用されてる全体除去が紅蓮地獄と火山の流弾なので、基本タフネス3なこちらの生物群が落とされず楽だった。

試合後フリプで作って行ったドラゴンストーム(ラヴニカ~時のらせんブロック)を回して遊んでたら、回し慣れてなくてグダグダ。


■3回戦  Delver-Blade(ミラディンの傷跡~イニストラードブロック) ✖✖

 
1本目 デルバー、聖トラフトの霊、修復の天使、ギタクシア派の調査と「(その頃にはもうマジック離れてたけど)知ってる、それすげー強えやつだ…」というカードをどんどん撃たれて気付いたら死んでいた
2本目 上記の布陣にルーン捕えの長槍が加わり秒殺
 

MTGから離れてた間にカバレッジで見て「強えなー」と思ってたやつに見事に轢き殺された感。


■4回戦 ピットサイクル(ウルザ~マスクスブロック) ○○

さっき会場から「ピットサイクルやんけ」という叫びが聞こえてきていたのだが、ここでマッチング。 

1本目 猿厄介者の理想的スタート。相手モノリスからのマナ加速でバーゲン出すも、その時点でライフ11まで詰めていてバーゲンからのドローでコンボスタートせず勝ち。

2本目 相手白マナ出ない事故でレイディアントの竜騎兵素出しに辿り着かれる前に殴り切って勝ち。
 

 流石にサーガ当時のストンピィのクレイドルブン回りには負けるが、エコー無しに1マナパワー2、2マナパワー3も展開できる訳で、ビートの安定打点向上の歴史を感じる。ソリティア系コンボデッキは最近のマジックのデザインでは忌避されているが、導火線に火がついたような勝負も面白い。



■5回戦 赤茶単  (ミラージュ~ウルザブロック)◯◯

1本目 お互い2マリ。相手マナアーティファクトだけ引く展開で普通に殴って本体火力で勝ち。

2本目 またお互い2マリ。ここぞとサイドインしてた古の遺恨で割りまくるが2マリだけあって肝心のクロック展開の方がヌルく、相手の決死のワイルドファイアに辿り着かれる。その後5ターンお互いランド引かず動けない展開も、やっと引いたランドで展開したクロックと遺恨フラッシュバックで完封して勝ち。

 

人気ありそうな茶単系には古の遺恨刺すしかない…と思っていたのでイメージ通り。
 

4-1でプレーオフ進出
 

プレーオフ一回戦 青白ヒバリブリンク(時のらせん~ローウィンブロック) XX
 

事前スパーリングで全く勝てなかったデッキとここでマッチング

1本目 当時セレズニアとかプロジェクトXのクソ教主ことロクソドンの教主に散々やられていた今回のデッキだが、台所の嫌がらせ屋やエイヴンの裂け目追いにブリンクとヒバリというクソ教主どころではないメカニズムを搭載しているのがヒバリな訳で…

2本目 ラスゴ台所エイブンリフトウォッチャーブリンクで死
 

 調整の時も相手が土地事故った時しか勝てなかったので想像通り。当時のタルモガラクカメコロ黒命令に勝つデッキはやはり伊達ではない。

※基本土地はMTG初めて買った時の4版入門セットに入ってたのを使ってます

 賞品でパックと、神河トークンフィギュア(イリュージョン)など貰う(このフィギュアまだ残ってるのか…)。商品のプロモパックから踏み鳴らされる地のプロモFoilが出て、お前は一生グルールしろというメッセージかと。


 ベスト4はゴブリン招集(オンスロートミラディンブロック)、青白ヒバリ(10版・時のらせん〜ローウィンブロック)、 Delver-Blade(ミラディンの傷跡〜イニストラードブロック)(2回戦の方)、グルールビート(自分)。
優勝はゴブリン招集(オンスロートミラディン)。

 なんと参加者14人全員違うデッキタイプだったそうで、その中で最新のデッキは2回戦の方のデルバーブレード。最新でも9年前のデッキということで、懐古スタンというフォーマット名をみんな地で行き過ぎ。ジャンドとかアブザンアグロとかレシピ見て絶対無理だろってなるデッキのレシピを事前に見ていたので、自分が知ってる時代の割と勝負になるデッキが多くて良かった。

 

 この大会をきっかけにまずカード屋巡りの楽しさを思い出してしまい(モダホラ2発売という格好のネタもあったし)、無意識にカード屋に足が向き、モダンのカードが集まっていく日々。少しずつ集めて行こうと思っていたものの、モダン系のカードはモダホラ2発売後の6月下旬あたりから高騰が激しく、5月あたりにいけるだけいっとけば良かった…と少し後悔。

 遊ぶ方ではMTGアリーナをぼちぼち回し、6月はマグダ型グルールアドベンチャーを回しひとまず構築ミシックまで。これは復帰と言っていいのかそれとも半復帰くらいなのか…それはともかく、マジックと少なからず向き合う日々が懐古スタンの大会をきっかけに戻ってきたのだった。素晴らしい大会を開催していただいた事に感謝します。